一橋ICSの伊藤 友則先生に2022年おすすめの推薦図書を、日英各1冊うかがいました。
現代語訳 論語と算盤 |渋沢栄一著 守屋淳訳
「日本の資本主義の父と呼ばれている渋沢栄一は、東京証券取引所、
日本初めての銀行である第一銀行を始め、 幾多の日本企業の設立に係わっています。企業の設立だけでなく、 多くの日本企業の経営理念のもとになった思想、即ち、 企業は単に利益をだす(商才)だけでなく、社会に貢献する( 論語)ことが大事という考え方を提唱しました。 明治になり侍がいなくなっていく中で、 日本の良き伝統である高潔な武士の思想(士魂) を企業の経営に持ち込むことを実践し、普及させました。この「 論語と算盤」の思想が戦後の日本の企業の発展、 そして日本の目覚ましい経済成長をもたらす一つの要因にもなって おります。2011年にハーバードビジネススクールのマイケル・ ポーター教授の提唱した「Creating Shared Value」と基本的には同じ考え方ですし、現在、 注目されているESG ないしはSDGsにも通じます。 日本でこのような斬新な経営思想が100年前からあったというの は驚くべきことです。 もう既に多くの方が読まれているかもしれませんが、 現代のESGとSDGsと比較しながら、 もう一度読むことをお薦めします。」(Tom先生) 資本主義の本質を見抜き、日本実業界の礎となった渋沢栄一。
「論語」とは道徳、「算盤」とは利益を追求する経済活動のことを指します。
『論語と算盤』は渋沢栄一の「利潤と道徳を調和させる」という経営哲学のエッセンスが詰まった一冊です。
明治期に資本主義の本質を見抜き、約480社もの会社設立・運営に関わった彼の言葉は、ビジネスに限らず、未来を生きる知恵に満ちています。
略歴
1979年東京大学経済学部卒業後、現:三菱東京UFJ銀行入行。国際企業部、資本市場第一部、ニューヨーク支店などにて勤務。
東京銀行在職中にハーバード・ビジネススクールに留学し、経営学修士号(MBA 1984年)を取得。
1995年3月スイス・ユニオン銀行(現:UBS)東京支店に入社、1998年6月よりUBS証券会社マネージング・ディレクター投資銀行本部長を務める。
その間数々の民営化、IPO,公開企業のエクィティーファイナンス、社債発行、M&Aを手掛ける。2011年4月一橋大学国際企業戦略研究科特任教授、2012年10月より現職。