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DBAプログラムディレクター・阿久津聡教授 | MBA学生が教授にインタビュー

作成者: Byline ICS|Jan 29, 2022 1:21:00 AM

今回のByline ICSでは、MBA二年制プログラムの学生Charlie(小山諒祐 Class of 2020)が気になる教授としてDBAプログラムディレクターの阿久津聡教授にインタビューをしました。

阿久津教授は、一橋大学にて学士号と修士号修了後、カリフォルニア大学バークレー校ハーススクール・オブ・ビジネスにて、修士号と博士号を取得、その後同校で研究員を務めました。

一橋ICS所属後、2007-2008年度にはサバティカル制度を利用してカリフォルニア大学バークレー校に戻り、更に研究を重ねました。その際、ハース・スクール・オブ・ビジネスと心理学部の両学部に所属。心理学部ではパーソナリティ社会研究所 (Institute of Personality and Social Research) と文化認知研究室 (Culture and Cognition Laboratory)に在籍し、幅広い研究を行いました。

一橋ICSでは本校の創立メンバーとして、研究だけでなく、教育やプログラム運営、教員育成にも精力的に携わっています。そんな阿久津教授に、研究者、教育者、プログラムディレクターとしてのお話をCharlieが伺いました。

本日はお時間をいただきありがとうございます。阿久津先生の生い立ちと、一橋での学部時代についてお聞かせください。

阿久津教授 私は東京で生まれ育ちました。地元の小学校を卒業後、中学・高校は私立の男子一貫校で、進学校でした。中学時代はアメリカに憧れていて、高校時代に米国イリノイ州に1年間留学をしました。アメリカ郊外のローカルな学校に放り込まれたのですが、当時、留学生はほとんどおらず、アジア系の学生も片手で数えられるほどでした。とても国際的な環境とは言えませんでしたが、楽しかったです。この経験から、将来は国際色豊かなアメリカの大学で学びたいと思うようになりました。その後、国立大学生向けの手厚い留学奨学金制度に応募することが出来た一橋大学に入学しましたが、ちょうど自分が2年生の時に、それ以上に手厚い留学奨学金制度が学内に設立され、結局その2期生としてカリフォルニア大学バークレー校に留学することになりました。

もともとアメリカの高校に留学しようと思ったきっかけは何だったのですか?

阿久津教授 これは自分の人生を通して当てはまることですが、私は自分の心に響いたこと、直観的に“かっこいい”と思ったことを目指してきました。熟考型というより直感型の人間です(笑)。とはいえ実際には、自分がかっこいいと思っても、なかなか出来ないことも多いです。結局は、自分がかっこいいと思うものの中から、自分に合ったものを選んできました。まあ、その時には色々と考えますよね。中学生当時、自分にとってアメリカ文化はかっこよくて、そこで生活してみたい、学んでみたいと素直に思ったわけです。幸運なことに、それは、高校、大学、大学院で、さらに教員になってからも実現しました。

では、バークレーに交換留学していたときに、"かっこいい"を見つけましたか?

阿久津先生 そうですね。バークレーでは、後にノーベル賞を受賞するような教授や研究者に多く出会いました。彼らが新しい研究分野を切り開いていく姿を目の当たりにして、かっこいいなと思いました。また、彼らが学生や他者の研究に光を当てたり、洞察を与えたりする姿は自分にとってまぶしく見え、いろいろな意味で魅了されました。一橋大学に戻ってきてからも、幸運にも多くの“かっこいい”先生方に囲まれ、視野を広げて多分野の研究に携わることができました。その結果、一橋ICSでさまざまなトピックを教えることができるようになりましたね。

バークレー在学中に出会った新しい研究分野のひとつに「ブランドマネジメント」があると伺いました。一橋ICSのブランディング戦略について少しお話いただけますか?

阿久津先生 20年前、野中先生と竹内先生のリーダーシップで一橋ICSが設立されたとき、私たちは質の高い教育を提供することに重点を置いていましたが、同時に優れた研究機関であることも位置づけていました。野中先生や竹内先生の研究、竹内先生の教育者としての実績が世界的に認められ、ブランドを確立できたと思っています。野中先生と竹内先生によって一橋ICSが設立されたとき、私たちは質の高い教育を提供することに重点を置いていましたが、同時に優れた研究機関であることも位置づけていました。野中先生や竹内先生の研究が世界的に認められ、ブランドを確立できたと思っています。

私自身、一橋ICSでは非常に情熱的な教育を受けており、それが一橋ICSの強みだと感じています。

阿久津教授 そうですね、一橋ICSに来ていただければ、教育の質の高さがわかると思います。ただ、グローバル化で大きく変化している教育現場の動向を見ると、研究者としては研究機関としてのブランディングも高めていかなければならないと痛感しています。世界に目を向けると、例えばシンガポールや中国は、常に世界市場を視野に入れた戦略をとっており、高等教育機関をトップレベルの研究機関にするための整備に取り組んできました。その結果、今では世界の大学ランキングで欧米の大学と並べても非常に競争力のある大学になっています。一橋ICSを次のステージに持っていくためには、このような競争環境の中で成果を出していくことが重要だと考えています。

 

 

それは、DBAプログラムのディレクターとしてのお仕事にもつながりますね。

阿久津教授 そうですね。先ほど申し上げたように、世界的に一橋ICSのブランドを高めていくためには、優れた研究機関としての地位を構築し、ビジネススクールのランキングでも上位を目指すことが重要だと考えています。その意味で、DBAプログラムが果たすべき役割は少なくありません。DBAはPh.D.と比べて、学術的貢献に加えてビジネスの実務的な含意を重視しています。一橋ICSのDBAプログラムでは、豊富な実務経験に裏づけられた洞察を学術的に理論化し検証したいと考えているビジネス・エグゼクティブも意識的に応援し、彼らに必要な知識や経験を提供しています。一橋ICSから世界的にもユニークな研究を発信し、そうした研究ができる研究者を輩出していくことが、一橋ICSの評価を高めることに繋がると思います。

ここで、学生の立場からお聞きしたいことがあります。MBAを取得する理由は何だと思われますか?MBAの学生は、自分のビジネスですぐに使える実践的なテーマを学びたいと考える傾向があると思います。アカデミックな学習と実用性のバランスはどのようにとればよいと思われますか?

阿久津教授 私自身の経験からは、手軽にすぐに使えるものは比較的すぐに陳腐化してしまうとものと思っています。一方で、根本的な考え方や、さまざまな状況に総合的かつ体系的にアプローチする方法を学ぶには時間がかかるかも知れませんが、一度学ぶといつまでも使えるように思います。もちろん、すぐに使えるツールやプラクティスは便利ですし、それらを学ぶことに意味がないと言うつもりは全くありません。しかし、特にフルタイムのMBAプログラムの意義は、手軽なツールの使い方を学ぶことより、根本的な考え方を養い、汎用性の高い状況分析や問題解決のアプローチを学ぶことにあると思います。少なくとも1年間、場合によっては2年間、腰を据えて学べるわけですから。基礎がしっかりしていれば、学んだことをより複雑な状況に応用することができます。それがおのずと実用性につながるものと思います。

本日はありがとうございました。私たち学生にメッセージをお願いします。

阿久津先生 自分が大学院で勉強していた頃を振り返ってみると、課題の量や内容の難しさに何度も押しつぶされそうになりながら、何とかギリギリのところで乗り切っていた記憶があります。しかし、何とか諦めずに生き延びることさえできれば、卒業後は何とでもなるものだと実感しました。大学院で諦めずに生き延びた経験は、私に多くのことを教えてくれました。一橋ICSでの勉強量は半端ないと思いますが、それを乗り切れば、その先には必ずや充実した世界が開けてくるということを、とくに今苦労している学生の皆さんにはお伝えしたいと思います。楽しくやっている学生は、ぜひそのまま続けて下さい(笑)。

 

Charlie (小山 諒祐)

Charlieは、2012年から銀行業界で経験を積むクレジットアナリスト。

2020年に一橋大学ICSMBA二年生プログラムに入学、現在はダブルディグリープログラムを利用して、北京大学にてMBAを取得しています。 興味のある分野は、企業戦略とアントレプレナーシップ。

Charlieの北京大学のダブルディグリープログラムに出願した体験談はこちらから。